一枚の布の中に本物の自然を見る 坂本友希 巡回展
Text by Shinichiro Nakanishi

北海道の南富良野町で暮らす友人から連絡があり、中西商店のギャラリーで作品展示をしたいということだった。

久々に本州に来るということで、大阪・長野・東京を巡回する展示会を企画しているとのこと。

断る理由は何もない。

久しぶりに会えることを楽しみにしていた。

作家の坂本友希さんの夫のなる君は豊能町出身で、北海道に行く前はよく店に遊びに来てくれていた。

なる君はママチャリで日本一周をしていた経験があり、その中でも北海道が一番居心地がよかったらしく、しばらくの間住んでいたこともあった。

「ちょっと北海道の友達に会いに行ってきます」と言い残し、ワゴンRの後部座席をベッドに改造した車で出かけてから、もう6年が経つ。

今では南富良野町に居を構えて奥さんと息子の3人で暮らし、この秋には古い家をDIYで改装してゲストハウスもオープンさせてしまった。

今回はそんななる君の奥さん坂本友希さんの作品を、二日間だけ展示販売させて頂くことができた。

友希さんは捺染という技法を使って布を染めて作品を作られている。

捺染とは要するにプリントという意味で、模様を抜いた型紙やシルクスクリーンを使って、染料を混ぜた色糊を布地にプリントして模様を出す技法のことだ。

北海道の自然や、そこに住む動物や鳥たちが描かれたデザインは、大阪に住む僕たちにとってもどこか懐かしさを覚える優しさがある。

僕はその色合いがとても気に入っている。

木の葉の色が一枚一枚微妙に違うように、一枚の布の中に本物の自然を見ることができるぐらい微妙な色の層が重なっていてともて美しいと思った。

二日間の期間中、会場はとても盛況だった。

EMMA COFFEEに来てくれたお客様、地元の奥様方、別の場所でたまたまDMを見てきて下さった方。

いろんな人が行き交い、出会いがあり、偶然の再会あり、ちょっとした奇跡的が幾つか起こった二日間だった。

美しい布と、友希さんとなる君、そして息子のあさ君がそんなご縁を運んでくれたんだと思う。

左から、なる君、あさ君、友達のはるかちゃんと愛犬お米

これから長野、東京と巡回しながら、作品と家族と大きなカヌーを積んだトラックで南富良野まで帰っていくらしい。

今度来るときはもう少し滞在してもらって、ゆっくりいろんな話をしたいな。

友希さん、なる君、あさ君、ありがとうございました。

気をつけて帰ってください。

店主、坂本友希さん、なる君

坂本 友希
​​さかもと ゆうき

1983年生まれ
東京都出身
​北海道在住

2009年シルクスクリーンと出会い、
2010年より手捺染での作品づくりを開始。
2011年より手づくり市やクラフトフェア、展示会などで作品を販売しています。

デザインをしてシルクスクリーンの型をつくるところから、プリント、蒸し、洗いまで一人で手がけています。
捺染を中心にいろいろと工夫しながら、つぎつぎ生まれてくるあたまの中のお話を日々、布に染めています。

​展示やイベントの情報はInstagramにて更新中。

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Writer Profile
中西 信一朗

中西 信一朗
Shinichiro Nakanishi

大阪府豊能町生まれ 20代前半に「おもしろそう」という理由でトロントへ渡りコーヒーショップで働き始める。カナダでの生活、人や文化、ヘラジカが好きになり、カナダ人になることを本気で計画するも、家の事情で実家の豊能町へUターン。 2014年、家業である中西商店を引き継ぎ、店舗の一角でEMMA COFFEEを開業。 2021年、中西商店を全面的に改装。あらゆる人が自由に過ごすことができる「公園」を作ることを目標に中西商店をリニューアルし、多様なイベントやプロジェクトを企画。同時にEMMA COFFEEを自家焙煎化し、オリジナル商品の開発やコーヒー豆の卸にも力を入れている。

【Event】
TEXTILE EXHIBITION yuuki sakamoto 巡回展
【Date】
2022年11月12日, 13日
【Artist】
坂本友希
中西商店/Emma Cofee
〒563-0219
大阪府豊能郡豊能町余野172-5

172-5 Yono,Toyono-cho,Toyono-gun,Osaka
Tel:072-739-0789
E-mail:info@emmacoffee.com