books+kotobanoie加藤さん企画のハニカミ写真館
Text by Shinichiro Nakanishi

いつも中西商店の本棚を選書して下さっているbooks+kotobanoieの加藤さんから「数年ぶりにハニカミ写真館をやりたいからギャラリーを使わせてほしい」とお話を頂きました。ハニカミ写真館のお話は何度か聞いたことがあり、面白い企画だなと思っていたし、できたばかりのギャラリーを皆さんに知って頂く機会にもなるので、ぜひ使ってくださいとお返事をさせて頂きました。もう100組近く撮影しているのだそう、、すごい。

ハニカミ写真館ではデジタルカメラではなく6×6の中盤フィルムカメラを使ってモノクロで撮影をします。カメラはハッセルブラッドで。フィルム1本で12枚撮影することができるこのカメラで、1組あたりフィルム1本分撮影をします。撮り終わったフィルムは一旦ベタ焼きにして露出の過不足やコントラストの強弱をチェックし、それと同時に12枚の中から1番いいカットを主催の加藤さん達で選択。そして再度プロの手作業によって印画紙にプリントされます。それを参加者の方々にお渡しするというのがこの企画の内容です。

僕もリハーサルをした時に何枚か撮って頂きましたが、やはりカメラの前に立ってみると何とも手持無沙汰で動きも表情もぎくしゃくしてしまいます。特に手のやり場に困ってしまい、ポケットに手を突っ込んだいいという加藤さんのアドバイスに習って何とかやり過ごしました。女性はなぜかカメラの前でも間が持つそう。
とはいっても撮影をしてくださった多田ユウコさん(多田ユウコ写真事務所)は被写体の緊張感をほぐすのがとても上手で、持ち前の柔らかく優しい雰囲気と笑顔で皆さんの緊張をほぐしながら自然な表情を引き出しておられました。

最近はスマホやデジカメで写真はたくさん撮っても、ちゃんと紙にプリントして飾るというところまでは殆どの人がやらなくなったのは皆感じている事だと思います。別にわざわざ紙焼きの写真に残さなくてもデータで保存しておけばいいと考える人の気持ちもわからなくはないし、否定するつもりも毛頭ありません。ですがフィルムで撮って、職人の手焼きで印画紙にプリントされたちゃんとした写真は、デジタルのそれとは全く別物だと思います。時間がたつほどに写真って良くなるものだと思うから、たまにでいいのでこういう写真を残す機会があると先の人生楽しみが増えるのではないかと思います。

Writer Profile
中西 信一朗

中西 信一朗
Shinichiro Nakanishi

大阪府豊能町生まれ 20代前半に「おもしろそう」という理由でトロントへ渡りコーヒーショップで働き始める。カナダでの生活、人や文化、ヘラジカが好きになり、カナダ人になることを本気で計画するも、家の事情で実家の豊能町へUターン。 2014年、家業である中西商店を引き継ぎ、店舗の一角でEMMA COFFEEを開業。 2021年、中西商店を全面的に改装。あらゆる人が自由に過ごすことができる「公園」を作ることを目標に中西商店をリニューアルし、多様なイベントやプロジェクトを企画。同時にEMMA COFFEEを自家焙煎化し、オリジナル商品の開発やコーヒー豆の卸にも力を入れている。

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