調理音×ギターサウンドの新鮮な音楽体験「Sound Meals」special guest : YeYe
Text by Shinichiro Nakanishi

昨年に続き2回目の『Sound Meals』


当日は曇りで、思っていたよりも涼しく快適だった。

ライブのセッティングの時にお願いをして、お客様が座る椅子を出来るだけ演者に近づけさせて頂いた。

スピーカーの位置も演者の後方にセットしてもらい、お客様が2人を囲むようなイメージにしたかったからだ。

前回はコロナの心配が今より大きく、どうしても距離をとらざるを得なかったが、今回は全体の一体感を感じたくてそのような提案をさせていただいた。

会場時間の17:30には続々とお客様が集まり俄に賑わい出す。

初めはステージからは少し距離を置いて座る方が多かったが、声をかけて出来るだけ前に詰めて見てもらうようにした。

興味のある方は前へ、後方は自由に動き回りながら見る人、上から鍋の中が見たくて2階から見るという方もいた。

皆さん自分の居心地の良い場所を選んで見てくれたことは、中西商店の楽しみ方を知って下さっているようで嬉しかった。

吸い込まれる

演奏と調理が始まる。

スパイスをカッカッと潰す音や、まな板でトントンとハーブを切る音。

鍋に敷いた油の中でパチパチとスパイスが弾ける音が集音マイクからスピーカーを通って空間全体に響いていく。

それに寄り添うようにギターの音が静かに立ち上がっていき、どんどん大きくなる。

しばらくするとスパイスの香りが立ち昇って空間全体を包み込んでいき、集まった人たちの意識は2人のパフォーマンスに吸い込まれるようだった。

山内弘太さん
咖喱山水さん

山内さんの演奏はキラキラと美しい時もあれば、まるで地下の深いところから聞こえる何かの呻き声のような重厚な響きを表現する時もある。

足元にあるエフェクターやペダルを裸足で操り、エフェクターのつまみまで足の指で繊細に操作する。

弓や音叉、金たわしなどを駆使してどんな音も表現してしまう。

ギター一本から鳴っている音とは思えないほど多彩な演奏に見入ってしまった。

咖喱山水さんは数ある工程を手際よく進めて、どんどんカレーを作っていく。

調理をしながら、計量スプーンの束が擦れ合う音、タイマーのビープ音、スプーンを鍋の淵に打ち付ける音まで計算して鳴らしてるように感じるほど、全ての音が溶け合っていた。

大きな鍋に小さなスプーンでスパイスの具合を調整していく手捌きに、豪快そうな彼の繊細な一面を垣間見たような気がした。

スペシャルゲスト YeYe

約40分の緊張感のあるパフォーマンスの後は、今回のスペシャルゲストとしてお招きしたシンガーソングライターのYeYeさん

YeYeさん

明るくチャーミングな性格の彼女がMCで一気に場の空気を明るく変える。

数年前にラジオで存在を知ってからよく音源は聴いてて、元々好きなアーティストだったので今回来てくださることになって本当に光栄だった。

歌詞の世界観や、透き通る歌声の中に力強さも兼ね備えているところが好きだった。

グヤトーンのビザールギターをジャキジャキと鳴らしなが歌う姿を見たら皆がファンになってしまうのではないだろうか。

披露して下さったのはほんの数曲だったが、暗くなった店内とストリングライトの灯りの中で聴くYeYeさんの歌はとても美しく、ピースフルなその場の空気が感動的だった。

今回はビリヤニ

YeYeさんのライブ終了後は先ほど作ったカレーをみんなで食べます。

昨年と同様、順番に並んで1人ずつカレーを貰う炊き出しスタイルで。

咖喱山水さん曰く、中西商店のオープンスペースにあるテーブルは僕の為にあるのではないかというぐらい炊き出しにピッタリ出そうで、参加者全員が彼の前に列を作りカレーを配っていく。

今回のメニューはビリヤニ。

ライブの後にみんなで食事をとりながらお話をする時間があるのはなんとも素敵で、全体の空気がとても和やかになるので大好きな時間であり、この食事の時間がSound Mealsの醍醐味なのだと思っている。

当日お客様からとても嬉しい感想をたくさんいただき本当に幸せだった。

後日頂いた感想メール↓

Sound mealsは最初は何が始まるんだ!?とびっくりしましたが、あんな音楽体験は初めてで新鮮でした。料理の音まで音を感じる心意気に感心しましたし、ギターの方のパフォーマンスも、本当に自由だなと思いました。あんなに自由にギターを弾く人は見たことがなかったです。世界が広がりました!

YeYeさん、言葉がなんだか沁みて、初めてLiveでうるうるしました。笑
空間の広さからか音響も良くて、本当に聴かせてくれました。良かったです、。

良い経験を、ありがとうございました」

とても嬉しい感想をありがとうございました。

ご参加下さいました皆様。

咖喱山水さん、山内弘太さん、YeYeさん。

お手伝いに来て下さったスタッフの方々。

この度は本当にありがとうございました。

是非またやりましょう!

YeYe
2011年デビュー。現在までに5枚のアルバムをリリースし、国内外から高い
評価を獲得。2021年、江﨑文武(WONK)やBASI、TENDRE、川辺素(ミ
ツメ)らが参加したミニ・アルバム『おとな』をリリース。2022年4月にBIM
をフィーチャーした新曲『素っ頓狂 feat. BIM』を、続く6月にはその
tofubeatsによるリミックスをリリースし大きな話題を集めている。

咖喱山水 | CURRY SANSUI
音の鳴る場所を中心にインド亜大陸料理を志向。音響派カレー。
スパイスの香りや性質、調理過程を音楽的に解釈し、コンセプトを打ち出したカレーで様々な音楽家や美術作家と共演を果たす。
また2020年6月には、活動を共にする山内弘太と調理音とギターインプロヴィゼーションによる音源+スパイスカレーキット〝Sound meals〟をリリース。�2021年6月より、各地を音と巡る〝Sound meals tour〟を敢行中。

山内弘太 | Kota Yamauchi
1986年生まれ。京都、堀川団地在住。ギタリスト。歌もの、即興、映像、ダンスとの共演など国内外問わず様々な形態、環境で活動。演奏ではギターから出るあらゆる音をその場で加工し積み重ね配置して音像を作り上げる。ソロ活動をベースに折坂悠太(重奏), quaeru, LUCA + There is a fox , 川本真琴 , 若松ヨウジン、YeYeなどのバンドに参加。咖喱山水とのプロジェクト "Sound Meals" や、堀川会議室での音楽イベント主催にも携わる。

Writer Profile
中西 信一朗

中西 信一朗
Shinichiro Nakanishi

大阪府豊能町生まれ 20代前半に「おもしろそう」という理由でトロントへ渡りコーヒーショップで働き始める。カナダでの生活、人や文化、ヘラジカが好きになり、カナダ人になることを本気で計画するも、家の事情で実家の豊能町へUターン。 2014年、家業である中西商店を引き継ぎ、店舗の一角でEMMA COFFEEを開業。 2021年、中西商店を全面的に改装。あらゆる人が自由に過ごすことができる「公園」を作ることを目標に中西商店をリニューアルし、多様なイベントやプロジェクトを企画。同時にEMMA COFFEEを自家焙煎化し、オリジナル商品の開発やコーヒー豆の卸にも力を入れている。

【Event】
『Sound Measl』咖喱山水×山内弘太×YeYe
【Date】
2022年7月16日
【Artist】
咖喱山水・山内弘太・YeYe
中西商店/Emma Cofee
〒563-0219
大阪府豊能郡豊能町余野172-5

172-5 Yono,Toyono-cho,Toyono-gun,Osaka
Tel:072-739-0789
E-mail:info@emmacoffee.com