8ottoマエノソノマサキ・ASIAN KANG-FU GENERATION後藤正文・LOSTAGE五味岳久・FM802土井コマキが来てしまった!同世代4人によるシンポジウム&ライブ
Text by Shinichiro Nakanishi

何から書けばいいのかわからないが、2022年10月30日は一生忘れられない日になったことは間違いない。

季節柄かなり冷え込んだ夜だったが、あんなにあたたかく、平和で楽しい空間は、日本中でもここだけだったのではないだろうかと思えるほど素晴らしい夜だった。

8ottoのマエノソノマサキさん
LOSTAGEの五味岳久さん
ASIAN KANG-FU GENERATIONの後藤正文さん
FM802の土井コマキさん

豪華過ぎるこの4名を迎えて、大阪の山奥のこの小さな商店でライブができる。

その時点でもう奇跡以外の何物でもない。

協力してくれた人たちや、出演者、関係者の方たちの心意気があったからこそ無二の一夜にすることができました。

本当にありがとうございました。

※文章後半に今回のイベントムービーへのリンクがあります。

辿り着けるのか、、

ライブ当日は秋晴れのいい天気だった。

午後3時ごろ、出演者の方がご来店くださり、ほぼ同時に一旦EMMA COFFEEは閉店。

ライブの軽い打ち合わせとリハーサル。

その間にスタッフは1Fライブスペースの整理と、2Fトークスペースの設営、物販の準備などを協力して行う。

みんな手際が良くてあっという間に準備が整っていく。

リハーサルが始まったのは会場よりも1時間以上前。

各ミュージシャンとPAの松澤さんが入念にステージと音の確認を進める。

店内が見えないようにシャッターは下されているが、隙間から大勢の足が見えていた。

もうすでに外には行列ができている。

漏れ聞こえるリハーサルの音に耳を傾けながら開場を待って下さっていた。

今回来場されるお客様は関東方面や四国のようなかなり遠方から来られる方がかなり多く、

土地勘のない大阪で、しかも豊能町のような不便な山奥の田舎町に来ていただくことにこちらもずっと緊張していた。

ちゃんと辿り着いていただけるだろうかと、何度もバスの時間をチェックして各お客様とやりとりを繰り返した。

心配していたが、午後5時の入場開始の時点でお客様全員が来られていたので一安心だった。

みなさん温かいドリンクを持って2Fの会場へ。

三者三様。でもみんな同じ。

FM802 土井コマキさん

午後5時半、土井コマキさんが登場し、マエソンさん、五味さん、後藤さんを招き入れた。

コロナ対策の為にある程度定員を絞って開催はしているが、出演者は本当にお客様の手の届くような目の前にいる。

みなさん静かに見ているが、最背後で様子を見ていた僕からもお客様のワクワクが背中から感じ取れた。

トークの内容は、マエソンさんがこの中西商店 EMMA COOFFEEを会場に選んだ理由から始まり、

ほぼ同世代の4人がお互いの第一印象を語ってくれた。

若く尖っていた時期に出会い、付かず離れずの関係を続けながら長い付き合いを続けて来た彼ら。

だからからこその信頼関係や互いへのリスペクトがあるのだと感じた。

「時間をかけて築いた関係の方が強いし信頼できる。久しぶりに会ったけど、マエソン君も、ゴッチも、やっぱええやつやなと思いました」

五味さんが語ってるのが、なんかグッときた。

マエノソノマサキさん・後藤正文さん・五味岳久さん

三者三様の活動スタイルでバンドを継続している彼らの話は、音楽業界には全く疎い僕たちにもとても興味深い話だった。

華やかな世界に生きていると思われているが、3人とも人生を豊かにするかけがえの無いもの(彼らにとっては音楽)を守るために、もがいて、苦しんで、嫌な仕事もして、真剣に日々を生きていた。

そんな話に勇気をもらったり、救われた人は僕だけではないと思う。

最高にかっこいいお兄さん達も、悩んで苦しみながら、自分の心に正直に好きなことを続けていたんだと。だからかっこいいんだと。

みんな一緒なんだと思えて、3人のことがもっと好きになった。

トークライブでの土井さんはやっぱりすごいと思った。

それ知りたい!と思うような答えを引き出す質問を的確に投げること、尋ね方やそのタイミングなどで場を作っているところはやはりプロ。

予定時間の1時間があっという間に思えるほどトークは充実した内容でとても楽しい時間だった。

その人が一番出る『弾き語り』

1時間のトークが終了し1Fへ移動。弾き語りライブへ。

LOSTAGE 五味岳久さん

1人目は五味さん。

「楽園」から始まり、最後の「NAGISA」まで。

五味さんの人間性、人生がそのまま歌やメロディーになって直球で飛んでくる感じ、と言えばいいのだろうか。

とにかく圧がすごくて、心が震えて、 「NAGISA」を聴いている時はちょっと目が潤んでしまった。

学生の頃から五味さんの声、どこか殺伐とした雰囲気の歌が大好きだった。

最近では弾き語りをしてる五味さんの歌が好きでよく車の中で聴いている。

いつかEMMA COFFEEに来て欲しいと思っていたので感無量だった。

五味さん終了後、今回のイベントの映像を撮ってくれていた北中さんが近くに来てポツンと「バチくそかっこいい。。。」とため息のように漏らしていた。

ASIAN KANG-FU GENERATION 後藤正文さん

2人目は後藤さん。

この日の3日ほど前、横浜アリーナを満杯にしている人。

僕が中学生の時に衝撃を受けた人。

そんな人が、今自分の店でギター一本で歌っているが信じられない。

ライブが始まる前にお話をしたが、腰が低くて優しい人だった。
語弊があるかもしれないが、すごく気さくに話してくれる普通の人で、そこまで緊張しなかった。

でも今マイクスタンドの前に立っているのはやっぱりアジカンのゴッチで。

歌が始まるとやっぱり一瞬で引き込まれた。

ニューアルバムのプラネットフォークスから「De Arriba」。

トークで後藤さんが話していた内容とリンクする曲で、静かな弾き語りだからこそより心に刺さった。

「(トークの時にLOSTAGEの『ネバーランド』という曲が好きと語っていたことに触れ)五味君の曲いいよね。僕もワンダーラン。。いやそれ俺の曲だ。『ネバーランド』ね(笑)。間違えたから『ワンダーランド』歌います。」

会場からも笑いが起こる和やかなムード。

曲の合間に「はぁ、楽しいなぁ」とふと呟いていたのが、心から出た言葉のようでとても嬉しかった。

暗闇にいるお客さん達の照明に照らされた横顔が、笑顔の人もいたり泣いてる人もいて、みんな本当に素敵だった。

3人目はマエソンさん。

マエソンさんのライブはとにかくはちゃめちゃで、宇宙だった。

僕の大好きな『NEW 2』という曲を演奏してくれた。とてもいい曲なので知らない人は是非聴いてほしい。

MCでははちゃめちゃな事を話して会場を沸かせているのに、歌うととても太くて色気のある歌声でかっこいいのだ。

何を話していたかは思い出せないが、MCの時は終始会場から笑い声が聞こえていて、言葉にできないがとにかく面白い人。

MC中にPAの松澤さんがマイクにエフェクトをかけてイタズラしてるのも、2人の関係性がわかる楽しい瞬間だった。

マエノソノマサキさん、SHUくん

そしてハンドパン奏者のSHUくんをゲストに『in my mind』を一緒に演奏してくれ、僕にとっても思い出深い昨年の2人のライブの思い出が蘇る瞬間だった。

「今日は僕の新曲のプロモーションもさせて欲しくて、サビの部分だけ歌いますね」と披露してくれた新曲もとてもかっこよかった。
これも是非チェックして欲しい。

トラブルもプラスに転換で最高のラスト

マエソンさんの後は、五味さん、後藤さんも出てきて3人で一曲歌うことになっていた。

「今日ってマエソン君の新曲プロモーションのイベントやったんですね。知らんかったわ(笑)」と笑いながら五味さんと後藤さんが登場。

当然知らなかったお客様は大喜び。

五味さんと後藤さんがギター、マエソンさんはドラムでoasisの名曲『Don’t look back in anger』を演奏してくれた。

しかしそこでトラブル発生。

歌い出したが、機材トラブルでマイクが入らず歌声が聞こえなくなってしまった。

PAの松澤さんが慌てて演奏を止めに入って復旧しようとしたが原因がわからない。演者の3名が「もうマイクなしでええやん」ということになり、急遽生音での演奏!

五味さんは客席にある柱に歌詞カードをテープで貼り付けて歌い、後藤さんも少しお客さんの席の近くまで寄って歌ってくれた。

僕たちも手を上に上げて、一緒に歌えないので心の中で合唱した。

会場が一つになったような気がした。

まさに最高の夜の最高のラストだった。

そこにいる人全員が笑顔で最後の最後までその場の空気を楽しんでいたと思う。

この場にいればどんな病気も治るかも、、と思えるぐらいの感動で心が満たされた。

毎度思うことだが、やはり感動にしか価値なんてないんだ。

裏話はまだまだたくさんあるが、ここでは書ききれないし、文章が苦手な僕にはうまく書ける気がしないので、知りたい人はお会いした時に話しますね。

心意気に感謝

今回の企画を実現するまでに、関わってくださった方々のお気持ちが本当にありがたく、人に恵まれていることにただただ感謝でした。

快く出演に承諾してくださった五味さん、土井さん、後藤さん。

一緒に企画をしてくれた松澤さん、マエソンさん。

マネージャーの高橋さん、仙石さん、キノゲさん。

PAのお手伝いに来てくれた和田さん、物販を担当してくれた里那。

映像の北中さん。ゲスト出演してくれたSHUくん。

皆さんの心意気のお陰で、今回のような一生忘れられない企画が実現しました。

なんとかいい物にしよう、みんなを楽しませようという皆さんの心意気があってこそでした。

後藤さんのマネージャーさんの計らいにも本当に感謝しかございません。

皆様、この度は本当にありがとうございました。

後藤さんがこの日のことを書いてくださってます↓
ドサクサ日記

マエノソノマサキ note↓
奇跡的な夜

当日の様子を収めたムービー↓
撮影・編集 北中康雅 (『ノマディックのこと 大谷さんちの4か月』詳しくはコチラ
ROCK’IN SYMPOSIUM & LIVE イベントムービー

お客様からのご感想

・トークショーの内容、進行については、素晴らしいの一言です。土井コマキさんは3人に対して遠慮し過ぎず、でしゃばり過ぎず、いい距離感で3人の魅力を上手く引き出す感じの司会ぶりは流石ベテランDJだと関心しました。
3人も、飾ることなく考えていること、感じていること等を話していただき、今はお互いをリスペクトし合っていること等がよくわかる、ほっこりと暖かいトークをしていただきました。
ライブについても本当に素晴らしかったです。トーク内容や機器のトラブル等に合わせて臨機応変にセトリやMC、歌い方等を組み合わせて、まさにそのとき、その場に居合わせることでしか味わうことのできない、出演者と来場者がその場で作り上げた一体感のあるライブ。これぞライブの醍醐味と思わせてもらいました。
もしこの場所で、このメンバーで、例えば毎年同様のイベントが開催されるとすれば、私は毎回喜んで参加させていただきます。
本当に素晴らしいイベントでした。どうもありがとうございました。

・昨日は素敵なイベントを開催して頂きありがとうございました!トークもライブも最高に楽しめました。
今日あれは夢だったのかな?と思うほどに心地いい空間でした。
今回、コーヒー、チャイラテ、チーズテリーヌを頂きました。コーヒーは一口めに鼻から抜ける香りの印象が忘れられません。あ〜好き!って思いました!チャイラテも程よい甘さとスパイスの香りがすごくて美味しかったです。そしてチーズテリーヌですがこんな美味しいの食べたことない!!と思いました!!チーズテリーヌを食べる為にバスに揺られるのもいいなって思いました!
たまたま昨日という日に出会えて好きを共有できたこと感謝申し上げます。ありがとうございました。
またぜひとも伺いたいと思います!!

・豪華なメンバーでのトーク&ライブ、温かい雰囲気で最後のセッションも、幸か不幸かマイクの不具合で、ほぼアンプラグドのレアな歌声がきけて大変良かったです。小さな会場ならではだと思います。

・音楽とそれぞれの関わり方をしておられる3人のこれまで、これからを見据える飾らないお話を伺えたこと。
土井さんには、これまでの御三方との信頼関係あってこその貴重なお話を引き出してくださったこと。
自然豊かなアットホームな雰囲気ならでは、の内容だったと思います。
たっぷり4時間ものイベントだったのに、終わってみればあっという間の夢のひととき、アンコールのoasisのカバーが最高すぎました!会場のみんなで大合唱できる日が早くくるといいですね。
改めて、今回は美味しいコーヒーと豊かな時間をありがとうございました。持ち帰ったベーグルサンドもとても美味しかったです!
またいつかお店にお伺いする日を楽しみにしております。

・日曜日は素敵なイベントを開催してくださりありがとうございました!!
とても楽しく素敵な時間でした!!
みなさんのトークも面白かったですし、ライブも素敵でした。トークも歌もそれぞれの個性があり魅力的でそれぞれのワールドに引き込まれていきました。マイクの音出ないとかありましたが、アットホームな空間でそれも含めて楽しめました。

・LIVE中私は今この場所が地球上で1番豊かな空間で1番素敵で素晴らしい時間が流れていると確信しながらメチャメチャ楽しんでいました。あの場所に居れたこと本当に心から感謝しております。

マエノソノマサキ
フジロック、サマソニ出演 海外 oasis のフロントアクトも果たした唯一無二のバンド 8otto(オットー) のドラムボーカル。
2004年、ニューヨークに渡り武者修行、2005年に再度ニューヨクレコーディングを敢行。
2006年『We do Viberation』でデビュー。
2015年、「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」第4話のエンディングテーマ「SRKEEN」を発表。
2017年、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のプロデュースで5thアルバム『Dawn On』リリース。
2022年10月8日、5年ぶりとなる新曲「FUZIN ⚡︎ RAIZIN」を発表。
 
TAKA HIROSE (FEEDER)、DEAN TIDEY、 INORAN (LUNA SEA)とのバンド Muddy Apes ではボーカルを務める。

Mofution Vibration としてソロ活動をおこなう。
2022年7月、新曲「Oboroge -朧げ-」発表。

Instagram

後藤正文
1976年静岡県生まれ。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギターであり、ほとんどの楽曲の作詞・作曲を手がける。
2010年、自身主宰のレーベル「only in dreams」を発足。
未来を考える新聞『THE FUTURE TIMES』を編集長として発行し続け、2018年からは新進気鋭のミュージシャンが発表したアルバムに贈られる作品賞『APPLE VINEGAR -Music Award-』の立ち上げた。
2020年12月2日、約4年半ぶりとなるGotch名義のソロアルバム『Lives By The Sea』を発表。
現在、全国ツアー『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2022「プラネットフォークス」』を開催中。

Instagram

五味岳久(ごみたかひさ)

2001年地元奈良にてロックバンドLOSTAGEを結成、ベースと歌担当。現在も地元を拠点に精力的に活動中。
同じく地元奈良にて音楽レーベル兼中古レコードショップTHROAT RECORDSを主宰。
1979年生まれ

twitter

土井コマキ
奈良生まれ、眼鏡、ex.銀行員。 2000年1月に、fm802「SONIC STYLE」のアシスタントDJとしてキャリアを本格スタート。その他、VJ、MC、書き物、イベント企画など、徒然なるままに「断らない」をモットーに音楽を真ん中において活動中。最近のマイブームはタイ。
「未来を耕す」をテーマに色々な人や物を紹介する「コマキ手帖」のコーナーを始めて、前身コーナーを合わせると10年になり、SDGsについても柔らかく発信している。

2000年1月~FM802「SONIC STYLE」アシスタントDJ(~01年9月)
2001年10月~FM802「MIDNIGHT GARAGE」DJ
2007年11月~エルマガジンにてコラム「コマキの事件簿」連載(~休刊 08年12月25日発売号)
2008年4月~スペースシャワーTV「MUSIC UPDATE」VJ(~09年3月)
2012年4月~FM802「BEAT EXPO」水木DJ(~19年9月)
2019年10月~FM802「EVENING TAP」水木DJ
など

■ 現在のレギュラー番組
FM802「MIDNIGHT GARAGE」(毎週月曜日24:00-27:00)
FM802「EVENING TAP」(毎週水曜日・木曜日18:00〜21:00)

Instagram

Writer Profile
中西 信一朗

中西 信一朗
Shinichiro Nakanishi

大阪府豊能町生まれ 20代前半に「おもしろそう」という理由でトロントへ渡りコーヒーショップで働き始める。カナダでの生活、人や文化、ヘラジカが好きになり、カナダ人になることを本気で計画するも、家の事情で実家の豊能町へUターン。 2014年、家業である中西商店を引き継ぎ、店舗の一角でEMMA COFFEEを開業。 2021年、中西商店を全面的に改装。あらゆる人が自由に過ごすことができる「公園」を作ることを目標に中西商店をリニューアルし、多様なイベントやプロジェクトを企画。同時にEMMA COFFEEを自家焙煎化し、オリジナル商品の開発やコーヒー豆の卸にも力を入れている。

【Event】
ROCK'IN SYMPOSIUM & LIVE at EMMA COFFEE
【Date】
2022/10/30
【Artist】
マエノソノマサキ(8otto / Mofution Vibration),五味岳久(LOSTAGE),後藤正文(ASIAN KANG-FU GENERATION),土井コマキ(FM802)
中西商店/Emma Cofee
〒563-0219
大阪府豊能郡豊能町余野172-5

172-5 Yono,Toyono-cho,Toyono-gun,Osaka
Tel:072-739-0789
E-mail:info@emmacoffee.com