アコーディオン奏者のかとうかなこさんと、地元豊能町で活動しているキャンドル作家のいりえのアトリエさんによるライブ「月灯りの紅鏡」が開催された。
入江さんはお寺で出る廃蝋燭を再利用して独自の世界観のキャンドルを制作している作家で、最近はミュージシャンとコラボをしてライブの空間演出などを手がけている。
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」に強く影響を受けた作品制作や空間演出を行なっており、まだ電灯がなかった時代の日本の美的感覚を自身の作品で表現している。
そして僕にとっては地元の先輩、幼馴染のお姉ちゃん、しかも遠縁の親戚になる(小さな田舎町あるある)。
かとうかなこさん(以降かなこさん)とは昨年の夏、当店で開催した「暮らしを考える エストニア×豊能町」というイベントで初めてお会いした。
全日本、全仏アコーディオンコンクールで優勝経験がある日本屈指のアコーディオン奏者で、CMなどへの楽曲提供、舞台や演劇への音楽制作も手がける一流の音楽家だ。
とてもよく笑う綺麗な人で、太陽のように明るい性格の素敵な人という印象だった。
今回のイベントタイトルの「紅鏡(こうきょう)」とは撰集抄(鎌倉時代の仏教説話集)に出てくる太陽を意味する言葉なのだそうだ。
入江さんの仄暗さの中に美しさを見出す空間演出と、かなこさんの演奏。
「月灯りの紅鏡」はこの2人にしかできない特別なライブ空間になった。
仄かな蝋燭の灯りで、初めは隣の人の顔もはっきり認識出来ないほど暗い中で静かにアコーディオンの演奏が始まった。
数十個の蝋燭を明滅させたり、移動させたりしながら影を動かして空間もどんどん変わっていく。
静かに始まった音楽は後半になるにつれてどんどんテンポが上がっていく。
最後の曲「祈り」は静かな曲だが、心に直接響くような、僕にとって強力で感動的な曲で締めて下さった。入江さんも一番思い入れの深い曲て言ってた気がする。
1時間半があっという間に感じるほど、素晴らしいライブだった。
かとうかなこさん
入江さん
かなこさん所属のHarmony Fields小巌さん
手伝ってくれた松澤さん
素敵な時間をありがとうございました。
打ち上げで行った天一も最高でした。
小巌さんが最高すぎて久しぶりに笑い疲れました・・(笑)
本当に素敵な人が周りにいて幸せです。
また何か一緒にできればいいなと思ってます。
かとうかなこ
大阪府豊中市出身。4歳からアコーディオンをはじめる。
全日本、全仏アコーディオンコンクール優勝。繊細かつ大胆な蛇腹扱いが最大の魅力。女性トップアコーディオン奏者として活躍。
フランスから帰国後全国でコンサート活動を中心に、舞台や演劇などの音楽制作を行う。
フランスや北欧のダンス音楽など多くのレパートリーを持つが、特にオリジナル曲のファンが多く、CMディレクター、写真家、演出家など多くの制作関係者からの使用依頼が多い。
現在9枚のアルバムをリリース。最新作のオリジナル ソロアルバムは「光と陰」。
自らの感情を委ねるように、アコーディオンにすべて名前をつけ、相棒として大切にしている。
蛇腹と呼吸を合わせながら風景の浮かぶ演奏を続け、80歳を超えても アコーディオンを弾き続けることが目標。
かとうかなこオフィシャルHP
いりえのアトリエ
灯りと影の作家
お寺の廃蝋燭を再生して新たなるろうそくを制作。 それらのろうそくを使い、『陰翳礼讃』の世界観を意識した空間演出、インスタレーションを手掛ける。
-暮らしに仄暗さの美を-
山々に囲まれた里山にある古民家に住み、夜から朝へ、昼から夜に変わるあわい時間を散歩することが日常。
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大阪府豊能町生まれ 20代前半に「おもしろそう」という理由でトロントへ渡りコーヒーショップで働き始める。カナダでの生活、人や文化、ヘラジカが好きになり、カナダ人になることを本気で計画するも、家の事情で実家の豊能町へUターン。 2014年、家業である中西商店を引き継ぎ、店舗の一角でEMMA COFFEEを開業。 2021年、中西商店を全面的に改装。あらゆる人が自由に過ごすことができる「公園」を作ることを目標に中西商店をリニューアルし、多様なイベントやプロジェクトを企画。同時にEMMA COFFEEを自家焙煎化し、オリジナル商品の開発やコーヒー豆の卸にも力を入れている。
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