蝋燭の灯りを明滅させながらの空間演出とハンドパンの演奏
どちらも即興の45分間
屋根を打つ雨音や、表の道を水飛沫を上げながら走る車の音まで演奏の一部になって、その時その瞬間にしか体験できない、非日常的な時間だった。
ハンドパンを演奏するSHUくんの手元を食い入るように見る人もいれば、演者が見えないところで地べたに座って壁にもたれながら聞いている人もいたり
会場は2階でしたが、1階で耳を澄ませて聞いている人もいる。
中西商店は吹き抜けになっているので、どの場所にいても音はよく聞こえた。
どこでどう過ごしてもいい、入場無料でいつ来ていつ帰ってもいい、よかったらチップ入れてください、というライブ。
海外で見たアングラな舞台を思い出すような雰囲気がとても気持ちよかったし、雨天で已む無くとはいえ、中西商店 EMMA COFFEEでやってくれた事にとても感謝している。
(晴れていれば近くの河原でやる予定だった)
このライブを企画した入江さん(いりえのアトリエ)は、彼女が抱いていた問いの答えを模索する中で今回のライブを思いついたと話していたが、終了後には何かヒントを得たようだった。
SHUくんが言っていた「こういう不親切なライブをもっとやりたい」という言葉が印象的だった。
それは僕が普段の店の運営や、昨年からやってきた幾つかのイベントをやる中で同じことを思っていたからだ。
「不親切」というと語弊があるが、つまりステージと客席、見せる側と見る側、という壁を取っ払って、みんなでその時間と空間を共有したい、一緒にステージを作ろうという思いからの言葉なのだろうと思っている。
今回の「一音孤灯」は僕も大きなヒントをもらった。
あの日にその場にいた人の感想はそれぞれだと思う。
僕はもっとこんなライブ、というか舞台のようなものと表現すべきかもしれないが、どんどんやっていってほしいと思った。
次回は河原での開催を期待している。
灯りと影の作家 いりえのアトリエ
お寺の廃蝋燭を再生して新たなるろうそくを制作。
それらのろうそくを使い、『陰翳礼讃』の世界観を意識した空間演出、インスタレーションを手掛ける。
-暮らしに仄暗さの美を-
山々に囲まれた里山にある古民家に住み、夜から朝へ、昼から夜に変わるあわい時間を散歩することが日常。
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SHU
ハンドパン奏者。"ハンドパン"という2001年にスイスで生まれたばかりの最新メロディー打楽器を持って大阪の路上を中心に、様々な場所で演奏をしています。ピアノ、吹奏楽でのパーカッション、大阪のバンド"DAM"でのドラムを経て、現在はハンドパン奏者やドラマーとして活動しています。日本にこの楽器を広めるために、"ハンドパン専用ネットショップKUROBO HANDPAN(クロボーハンドパン)"の運営や、演奏方法の動画公開などの活動も行なっています。
http://hang-drum.info
大阪府豊能町生まれ 20代前半に「おもしろそう」という理由でトロントへ渡りコーヒーショップで働き始める。カナダでの生活、人や文化、ヘラジカが好きになり、カナダ人になることを本気で計画するも、家の事情で実家の豊能町へUターン。 2014年、家業である中西商店を引き継ぎ、店舗の一角でEMMA COFFEEを開業。 2021年、中西商店を全面的に改装。あらゆる人が自由に過ごすことができる「公園」を作ることを目標に中西商店をリニューアルし、多様なイベントやプロジェクトを企画。同時にEMMA COFFEEを自家焙煎化し、オリジナル商品の開発やコーヒー豆の卸にも力を入れている。
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